中国・西安は古都・長安として栄え、シルクロードの要衝として多様な食文化が発展したグルメ都市です。13の王朝の都として3000年以上の歴史を持つこの古都では、漢民族の伝統料理にイスラム文化の影響を強く受けた料理が融合し、他の中国都市では味わえない独特のグルメ文化が形成されました。
特に回族(中国のイスラム教徒)の影響により、羊肉やスパイスを使った個性豊かなメニューが数多く生まれ、現在でも西安グルメの中心的存在となっています。
今回は、西安でぜひ味わいたいおすすめグルメを5つ厳選し、それぞれの特徴や歴史、おすすめの名店情報まで詳しくご紹介します!
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羊肉泡馍(ヤンロウパオモウ)西安の魂を味わう代表的郷土料理

羊肉泡馍とは?パンをちぎって食べる西安ならではの名物スープ
羊肉泡馍は、西安を代表する郷土料理として1000年以上の歴史を持つ伝統的なスープ料理です。羊肉の旨みがたっぷり詰まった濃厚なスープに、手でちぎった蒸しパン(馍)を入れて食べる独特のスタイルが特徴的。ほろほろに煮込まれた羊肉とパンがスープと絶妙に絡み合い、食べ応えも満点の一品です。
この料理の面白いところは、客自身がパンをちぎる作業に参加することです。蒸しパンを小指の爪ほどの大きさに細かくちぎり、それをスープに入れて煮込みます。パンの大きさによってスープの染み込み方が変わるため、自分好みの食感を作り出すことができます。
砂糖漬けニンニクを入れて味変するのも通の楽しみ方です。このニンニクは羊肉の臭みを消し、さっぱりとした後味を演出してくれます。また、コリアンダーや唐辛子油を加えることで、より複雑で深い味わいを楽しむことができます。
おすすめ店舗
▷ 同盛祥(トンシェンシャン)
住所: 西安市西大街53号
営業時間: 7:00-21:30
1920年創業の歴史ある名店で、羊肉泡馍の老舗として知られています。スープの深いコクと羊肉の柔らかさが自慢で、多くの美食家から高い評価を受けています。
肉夹馍(ロウジャーモウ)西安風ハンバーガーの元祖

中国最古のファストフード「肉夹馍」の魅力
「中国のハンバーガー」と呼ばれる肉夹馍は、実はハンバーガーよりもはるかに古い歴史を持つ、中国最古のファストフードです。2000年以上前の秦の時代から存在していたとされ、現在でも西安の代表的なストリートフードとして親しまれています。
焼き目をつけた蒸しパン(白吉馍)に、甘辛く煮込んだ肉や香草を挟んだシンプルながら奥深い料理です。
羊肉(羊肉夹馍)、牛肉(牛肉夹馍)、豚肉(臘汁肉夹馍)などバリエーションも豊富で、それぞれ異なる味わいを楽しめます。外側はカリッと香ばしく、中はふんわりとしたパンの食感と、ジューシーな肉の旨味が絶妙にマッチしています。
おすすめ店舗
▷ 秦豫肉夹馍(チンユーロウジャーモウ)
住所: 西安市東大街
営業時間: 7:00-21:00
リーズナブルな価格で本格的な肉夹馍を提供する庶民派の名店です。特に朝の時間帯は通勤・通学途中の地元住民で賑わい、西安の日常生活を垣間見ることができます。
灌湯包(ガンタンパオ)スープあふれる西安風小籠包

羊肉の旨味が詰まった西安独特の小籠包
灌湯包は、一口かじると熱々のスープがじゅわっとあふれ出す小籠包の西安バージョンです。上海の小籠包との最大の違いは、西安の灌湯包が羊肉を使っていることです。
羊肉特有の香りと旨味を堪能できる、西安ならではの味わいが特徴的です。
皮は薄く作られており、中には羊肉のミンチとゼラチン質のスープが包まれています。蒸し上がると、ゼラチンが溶けて熱々のスープになり、一口食べると口の中に羊肉の濃厚な旨味が広がります。
おすすめ店舗
▷贾三灌汤包子馆(ジアサンガンタンパオズーグアン)
住所: 西安市回民街
営業時間: 9:00-22:00
回民街にある人気店で、観光客にも利用しやすい立地です。羊肉の灌湯包が特に評判で、西安らしい味を手軽に楽しめます。
ビャンビャン麺名前も麺もインパクト抜群の西安名物

世界で最も複雑な漢字を持つ麺料理
ビャンビャン麺は、その名前の漢字が世界で最も複雑(58画)ともいわれる、西安を代表する麺料理です。ベルトのように太く長い手打ち麺が特徴で、一本の麺の長さは1メートルを超えることもあります。
また、長さだけでなく、麺の幅は2-3センチメートルもあり、もちもちとした食感が楽しめます。
唐辛子やニンニク、花椒などのスパイスを豪快にかけて、パンチの効いた辛旨料理に仕上げます。麺好き、辛いもの好きにはたまらない一品です。
おすすめ店舗
▷ 魏家凉皮(ウェイジャーリャンピー)
住所: 西安市南院门
営業時間: 7:00-21:00
地元で評判の麺チェーン店で、特にビャンビャン麺の手打ち技術が素晴らしいと評価されています。辛さの調整も可能で、辛いものが苦手な方でも楽しめます。
黄桂柿子餅(フアングイシーツビン)西安スイーツの代表格

柿を使った伝統的な西安スイーツ
黄桂柿子餅は、西安の代表的なスイーツとして親しまれている伝統的なお菓子です。柿の果実を使って揚げ焼きにしたこの餅は、外側は香ばしく、中はねっとりと柔らかい独特の食感が特徴です。
素朴な甘さとほのかに香るキンモクセイ(黄桂)の香りが、食後のおやつにぴったりです。
屋台でも手軽に楽しめ、西安の街歩きのお供として人気があるので屋台を見かけたら是非挑戦してみてください。
おすすめ店舗
▷ 德懋恭(ダーマオゴン)
住所: 西安市东大街
営業時間: 8:00-21:00
1872年創業の老舗菓子店で、伝統的な製法で作られる黄桂柿子餅が評判です。包装もしてもらえるため、お土産にも最適です。
西安グルメを楽しむための実用情報

食事時間について
朝食(早餐): 6:00-9:00
西安の朝食文化は非常に豊かで、羊肉泡馍や肉夹馍を朝食として楽しむ地元住民が多くいます。
昼食(午餐): 11:30-14:00
最も賑わう時間帯で、多くのレストランが混雑します。少し時間をずらすか、予約をおすすめします。
夕食(晚餐): 17:30-21:00
家族や友人との食事を大切にする文化があり、夕食時間は比較的長めです。
支払い方法
現代の西安では、WeChat PayやAlipayなどのモバイル決済が主流ですが、観光客は現金での支払いも可能です。高級レストランではクレジットカードも利用できます。
言語対応
主要な観光地周辺のレストランでは、英語メニューや写真付きメニューを用意している店舗が増えています。また、翻訳アプリの活用もおすすめです。
衛生面での注意
信頼できる店舗を選び、生水は避けてボトルウォーターを飲むなど、基本的な注意を払いましょう。屋台料理も楽しめますが、混雑している人気店を選ぶのが安全です。
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西安でグルメを楽しもう!
西安には、羊肉やスパイス、もちもちの小麦料理などを活かした個性的なメニューがたくさんあります。特にストリートフードの充実度は圧巻で、旅の途中で屋台に立ち寄って、気になる料理をちょっとずつ試してみるのも楽しい体験です。
今回ご紹介した5つのグルメは、いずれも西安の歴史と文化を反映した特別な料理ばかりです。羊肉泡馍で西安の伝統を感じ、肉夹馍で庶民の味を楽しみ、灌湯包で職人の技を味わい、ビャンビャン麺で豪快さを体験し、黄桂柿子餅で優雅なひとときを過ごす。
これらの料理を通じて、西安という古都の奥深い魅力を存分に味わってください。きっと、食を通じて西安の歴史と文化をより深く理解し、忘れられない旅の思い出を作ることができるでしょう。
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