マレーシア移住ビザ完全ガイド|目的別に選ぶ7つの選択肢をご紹介!

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海外に長期滞在しようとすると、必ずぶつかるのが「ビザ」という壁です。空港のイミグレーションで滞在目的や期間を尋ねられるのは、どの国でも共通の光景ですが、マレーシアも例外ではありません。

パスポートの提示だけで入国できる「観光目的の滞在」には、国ごとに決められた上限日数があります。この上限を超えて滞在を続けると、たとえ本人に悪意がなくても不法滞在として扱われ、拘束や国外退去といった厳しい対応を取られるリスクがあります。国境は各国が自国の秩序を守るための最後の砦であり、そこには軍や警察といった実力組織まで動員される仕組みが背景にあることを、まず頭に入れておく必要があります。

この記事では、日本人がマレーシアで中長期的に暮らすために選べる主要な滞在ビザを、目的別に7パターン整理して紹介します。単なる制度の羅列ではなく、「どんな人がどのビザに向いているか」「2026年時点でどこが変わったか」まで踏み込んで解説します。

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観光ビザでどこまで滞在できるか

Henley & Partners社が公表しているパスポート指数によれば、2026年時点で日本のパスポートは世界188の国・地域へビザなし(または到着時ビザ)でアクセスできる、世界トップクラスの信頼度を持っています。

日本とマレーシアの間では、観光目的であれば1回の入国につき90日間、特別なビザを取得せずに滞在できる取り決めがあります。さらに一時的に国外へ出てから再入国する形を繰り返せば、年間の合計滞在日数は最大180日まで認められており、これは1年のほぼ半分に相当します。

つまり「まずは短期でマレーシアの暮らしを試してみたい」という段階であれば、観光ビザだけでも十分に選択肢になり得るということです。ただし、この枠を超えて生活の拠点を置きたい場合は、目的に応じた長期滞在ビザへの切り替えを検討する必要があります。

ビザ選びは「目的」と「期間」から逆算する

マレーシア移住を考えるとき最初にすべきことは、「なぜマレーシアで暮らしたいのか」を明確にすることです。

  • 子どもの教育環境を変えたいのか
  • 家族全員でリロケーションしたいのか
  • 定年後の暮らしを海外で送りたいのか
  • 現地で事業や仕事をしたいのか
  • 場所を選ばない仕事を続けながら生活拠点だけ移したいのか

目的が変われば、必要なビザもまったく異なります。以下では代表的な7つのケースに分けて、それぞれに対応するビザを紹介します。

目的別・マレーシア移住ビザ7選

① 子どもの教育を軸にした母子・家族移住:学生ビザ+保護者ビザ

インターナショナルスクールへの入学が決まると、子ども本人にはStudent Pass(学生ビザ)が発給され、通学が可能になります。有効期間は1年ごとで、在学中は毎年更新の手続きが発生します。

子どもが学校への入学を認められると、保護者にはGuardian Pass(保護者ビザ)が発給され、子どもと一緒にマレーシアに滞在できるようになります。保護者向けの長期滞在許可を出している国は世界的にも珍しく、この制度こそが教育移住の決め手になっているケースは少なくありません。

2024年以降は、それまで片方の親にしか認められていなかった保護者ビザについて、両親そろっての取得(いわゆるセカンドガーディアンビザ)が制度上可能になりました。ただし新しい仕組みであるため、州や学校ごとに運用の差が大きく、2人目の申請サポートを行っていない学校も存在します。

主な要件をチェック

主な要件は次の通りです。

  • 有効期間は1年で毎年更新が必要
  • 学生ビザの発給資格を持つ学校のみが対象(6歳未満のみの保育施設などは対象外が一般的)
  • 1人目の保護者ビザは州によって母親のみに限定される場合がある
  • 保護者ビザではマレーシア国内での就労はできない
  • 未就学の兄弟姉妹は帯同可能

なお、このビザは有効期間が1年区切りのため、更新のタイミングによっては旧ビザの失効前に新ビザが間に合わず、いったん国外に出て観光ビザで再入国するよう学校側から案内されることがあります。

ジョホールバルのようにシンガポールへ陸路で日帰り出国できる立地であれば対応しやすい一方、それ以外の地域では負担の大きい対応になりがちです。このような不便さを避けたい場合、次に紹介するMM2H系のビザが有力な選択肢になります。

② 家族単位でのリロケーション:MM2H/S-MM2Hビザ

配偶者や親も含めて家族全員で移住したい場合の定番が、MM2H(Malaysia My Second Home)とサラワク州独自の制度であるS-MM2Hです。

MM2Hはかつて年齢制限がなく、収入や資産を証明できれば比較的取得しやすい制度でしたが、2020年のプログラム一時停止を経て2021年に条件が大幅に厳格化されました。

その後2024年6月に制度が全面的に見直され、現在は「シルバー」「ゴールド」「プラチナ」の3段階(および2025年に新設されたジョホール州フォレストシティ限定のSEZ枠)に再編されています。

主な要件をチェック

2026年時点の主な要件(連邦MM2H)は概ね次の通りです。

ランク定期預金の目安不動産購入の目安パスの有効期間
シルバー約15万USD約60万リンギット5年(更新可)
ゴールド約50万USD約100万リンギット15年(更新可)
プラチナ約100万USD約200万リンギット20年(更新可)

2024年の改定以降、以前まで課されていた月収要件は撤廃された一方で、新たに不動産購入が義務化された点が大きな変化です。購入対象はデベロッパーからの新築(プレビルド)物件に限られ、購入から10年間は原則として売却できません。

定期預金についても、承認から一定期間内に不動産購入資金として一部引き出しが認められるなど、細かなルールが度々更新されています。

S-MM2Hビザ

一方のS-MM2Hは、サラワク州政府が独自運用するロングステイビザで、サラワク州だけでなく西マレーシア(半島部)にも長期滞在できる点、連邦MM2Hより取得条件が緩やかな点が特徴です。

ただし2026年1月にサラワク州側の要件も見直され、単身者でも一定額(目安50万リンギット)の預金が求められるなど、こちらも運用が流動的です。

家族で取得すれば、扶養家族として配偶者や子ども(州によっては両親や義理の両親も対象拡大)まで含めてマレーシア滞在が可能になる点は、両制度に共通する大きなメリットです。

マレーシア国内の銀行口座を開設できるため、資産運用の選択肢も広がります。なお、日本国内の所得について日本で適切に納税している場合、原則としてマレーシアで二重に課税されることはありません。

③ セカンドライフ・リタイアメント移住:MM2H/S-MM2Hビザ

定年後にゆったりとマレーシアで暮らしたいという層にも、②で紹介したMM2H/S-MM2Hが第一候補になります。想定する滞在期間が短ければ観光ビザの範囲でも対応できますが、観光ビザのままだとマレーシア国内で銀行口座を開設できないという不便さが残ります。

結果として、生活資金を現金で管理せざるを得なくなったり、資産をマレーシア国内で運用できなかったりする点が悩みどころです。

マレーシアの移住関連制度はここ数年で条件が何度も改定されており、「取得しやすいうちに動く」ことが結果的に有利に働くケースも多く見られます。将来的な移住を視野に入れているなら、早めに情報収集と資金計画を始めておくことをおすすめします。

④ 事業・就労を伴う家族移住:就労ビザ(Employment Pass)/PVIP

マレーシアは外国資本による会社設立や事業運営が認められている国で、現地で収入を得ながら暮らしたい人には就労ビザ(Employment Pass)またはPVIP(マレーシア・プレミアム・ビザ・プログラム)が主な選択肢になります。①や②で紹介した学生ビザやMM2Hでは、原則として現地での給与所得を得ることができません。

就労ビザは最低月額給与に応じて3つのカテゴリーに分かれています。2026年6月1日付でこの給与要件が大幅に引き上げられ、日本人が取得することの多いカテゴリー2の最低給与はおよそ2倍の水準に改定されました。

カテゴリー最低月額給与(2026年6月以降)雇用期間の上限家族帯同
カテゴリー1RM20,000以上最長10年
カテゴリー2RM10,000〜RM19,999最長10年(後継者育成計画が条件)
カテゴリー3RM5,000〜RM9,999(製造業等はRM7,000〜RM9,999)最長5年(後継者育成計画が条件)

今回の改定では給与水準の引き上げだけでなく、通算の在留可能年数に上限が設けられた点も見逃せません。長期でマレーシアに腰を据えて働きたい人ほど、キャリア設計を早い段階から練っておく必要があります。

取得ルートは大きく分けて、自ら現地法人を設立してビザを申請する方法と、既存のマレーシア企業に雇用され、その企業にビザ申請を代行してもらう方法の2通りです。学歴・職歴要件もあり、大卒以上なら3年以上、高卒以上なら7年以上の実務経験が目安とされます。

もう一つの選択肢であるPVIPは、20年という長期の滞在許可に加え、現地での事業活動が認められている点が特徴です。不動産購入義務はありませんが、参加費用など初期コストがかかるため、経済的な要件を満たせる人向けの制度です。

⑤ リモートワークを続けながらの移住:デジタルノマドビザ(DE Rantau)

勤務地を問わない働き方をしている人向けに、2022年に新設されたのがデジタルノマドビザ(DE Rantau)です。当初はIT・デジタル関連職種が対象でしたが、2024年6月からは対象職種が非IT分野にも拡大されました。

このビザは最長2年間の滞在が認められ、年収要件を満たせば資産証明なしで申請できる点が大きな魅力です。

MM2Hのような高額な定期預金や不動産購入を必要としないため、「まずはお試しでマレーシア生活を体験したい」フリーランス層や現役世代にとって、比較的ハードルの低い選択肢といえます。

⑥ 現地での実績を積んだ人向けの長期定住:レジデンスパス・タレント(RP-T)

すでに就労ビザで数年間マレーシアに滞在している人が、さらに腰を据えて暮らし続けたい場合に検討できるのがレジデンスパス・タレント(RP-T)です。

取得できれば10年間の滞在権に加え、本人だけでなく配偶者もマレーシア国内で就労収入を得られるようになります。

取得のハードルは高く、3年以上の現地就労実績、月給RM15,000以上、適切な納税実績などが求められます。それでもマレーシアでの生活を長期的に続けたい人にとっては、目指す価値のある制度です。申請手続きはマレーシア政府のTalentCorpを通じて行います。

⑦ マレーシア人との結婚による移住:配偶者ビザ(Long-Term Social Visit Pass)

マレーシア国籍を持つ人と結婚した場合、正式名称Long-Term Social Visit Passと呼ばれる配偶者ビザを取得できます。

別途申請は必要になりますが、このビザでも現地就労が可能です。5年以上の滞在実績を積むと、永住権の申請資格を得られます。

パートナーを見つけるという条件自体のハードルは高いものの、他の就労系ビザに比べると申請要件が緩やかで、就労機会も得やすいという特徴があります。

一覧比較表

ビザ主な対象者就労可否有効期間の目安
観光ビザ短期滞在・お試し移住不可90日(往来で年180日)
学生ビザ+保護者ビザ子どもの教育移住保護者は不可1年(毎年更新)
MM2H/S-MM2H家族・セカンドライフ移住原則不可(プラチナ等は例外あり)5〜20年
就労ビザ(EP)現地で働きたい人最長5〜10年
PVIP富裕層の長期滞在+事業20年
デジタルノマドビザリモートワーカーリモート業務のみ可最長2年
RP-T現地就労実績のある人可(配偶者も可)10年
配偶者ビザマレーシア人と結婚した人更新制

よくある質問

Q
マレーシアのビザ制度はよく変わると聞きますが、本当ですか?
A

はい。特にMM2Hと就労ビザ(Employment Pass)は、ここ数年で条件改定が繰り返されています。ネット上の情報は改定前の古い数値のままになっていることも多いため、申請直前には必ずマレーシア観光省(MOTAC)や移民局など公的機関の最新情報、または認定エージェントに確認することをおすすめします。

Q
観光ビザのまま長く暮らすことはできますか?
A

制度上は年間最長180日まで滞在できますが、銀行口座が開設できない、就労できないといった制約が残ります。生活拠点として腰を据えるなら、目的に合った長期滞在ビザへの切り替えを検討したほうが安心です。

Q
どのビザを選べばよいか迷っています。
A

「教育目的か」「家族全員での移住か」「現地で収入を得たいか」「リモートワークを続けたいか」という軸で整理すると選びやすくなります。迷う場合は、複数のビザに共通する要件(滞在期間・費用・就労可否)を比較表で並べて検討するのがおすすめです。

早めの情報収集が失敗を防ぐ

マレーシアで暮らすということは、日本とマレーシアの間で結ばれた取り決めの範囲内で生活させてもらっているということでもあります。

観光ビザの90日・180日ルールを守ることはもちろん、中長期の移住を考えるなら、目的に合ったビザを早い段階から調べておくことが何より重要です。

特にMM2Hや就労ビザのように条件改定が頻繁な制度は、「情報を集めた時点」と「実際に申請する時点」で条件が変わっていることも珍しくありません。

この記事で紹介した7つのパターンを出発点に、まずは自分たちの移住目的を明確にし、必要であれば専門家やエージェントに相談しながら準備を進めていくとよいでしょう。