パキスタンは南アジアの要衝であり、歴史的遺産や壮大な自然景観に恵まれた魅力的な国です。
しかし、治安情勢は一様ではなく、地域や時期によってリスクが大きく変動します。テロや犯罪のリスクは完全には払拭されておらず、外務省も引き続き注意を呼びかけています。
この記事では、過去から現在までの治安の変化、地域ごとの安全性、出張や観光での具体的な注意点、安全対策のポイントを網羅的に解説します。
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パキスタンの 治安全般の現状と変化

パキスタンのテロ発生の推移ですが、2009年のピーク時にはテロ発生件数が3,816件、死傷者が25,000人超という状況で、爆破事件や銃撃、宗教施設を狙った攻撃が多発し、国全体が不安定な状態でした。
政府は2013年以降、軍・警察による過激派掃討作戦を本格化し、国境管理の強化や情報収集体制の改善によりテロ発生は大幅に減少。
現在の状況
2024年のテロ攻撃の件数は444件、犠牲者数(治安部隊を含む)は1,612人(民間人+治安部隊)となっています。
事件の大多数は ハイバル・パフトゥンハー州(Khyber Pakhtunkhwa, KP州) と バロチスタン州 に集中しているの近づかないのがオススメです。
TTP(パキスタン・タリバン運動)の影響
2022年11月に停戦合意を破棄し、警察署や軍施設を狙った攻撃を再開しており、自爆テロ・爆弾攻撃のリスクが依然として存在します。
地域ごとの治安状況
地域毎にも大きな違いがありますので、パキスタンを訪れる際にはしっかりと頭に入れておきましょう。
比較的リスクが高い地域

北西部・ハイバル・パフトゥンハー州(KP州)
アフガニスタン国境付近は過激派組織の活動が依然として活発。
山岳地帯を拠点に武装勢力が潜伏しており、外国人には極めて危険。
バルチスタン州
武装組織による治安部隊への攻撃や分離独立運動が続く。
インフラ建設事業に関連した襲撃も報告されており、外務省は渡航中止勧告を出している。
比較的安全性の高い地域

イスラマバード
首都として治安が管理され、警備も厳重。
外交関係者や外国人ビジネスマンが滞在しやすい。
ラホール
歴史遺産が多く、観光地として整備が進む。
大規模テロは減少しており、落ち着いた環境。
カラチ
経済の中心都市。
テロ件数は減少したが、強盗や窃盗などの一般犯罪が深刻。
パキスタン主要都市で観光客・出張者が気を付けるポイント

パキスタンの主要都市(カラチ・イスラマバード・ラホール等)は経済・政治の中心として外国人も訪れる機会が多い一方で、治安面には注意が必要です。
都市ごとに程度の差はあるものの、共通して以下のリスクが存在します。
都市部で多発する犯罪
パキスタンの都市部を訪れる際に多発している犯罪についてご紹介いたします。
バイク強盗・ひったくり

信号待ちや渋滞中の車を狙って、バイクに乗った犯人が窓越しに携帯電話やバッグを奪い去る手口。特にカラチで頻発しており、外国人も被害対象になる。
気を付けるポイント
- 渋滞中や信号待ちでは窓を閉め、ドアをロックする。
- 車内でスマホを操作しない。
- バッグや貴重品は座席に置かず、視界に入らない位置へ。
スリ・置き引き

バザールや市場、バスターミナルなど混雑した場所で多発。財布やスマホを狙ったスリ、荷物を一瞬で持ち去る置き引き被害が多い。特に外国人は狙われやすい。
気を付けるポイント
- 貴重品は前ポケットやインナーバッグに入れる。
- リュックサックは背負わず前に抱える。
- 人混みでは立ち止まらず、不要な荷物を持ち歩かない。
夜間の治安悪化

日没後は路上犯罪のリスクが上昇。路上強盗や誘拐の事例も報告されており、特に人気の少ないエリアは危険度が高い。
気を付けるポイント
- 夜間の外出は避け、移動は日中に済ませる。
- 必要な移動は必ず車両で行い、徒歩移動は控える。
- 不要不急の外出はホテルで過ごす。
出張・旅行での具体的な注意点
パキスタンを出張や旅行で訪れる際に具体的に注意すべきポイントをご紹介いたします。
渡航時期

パキスタンでは、宗教行事や政治的な出来事に伴い治安が不安定になりやすい時期があります。特に ラマダン(断食月) や イード(断食明けの祝祭) の期間は、人々の移動が増えるうえ、群衆デモや突発的な衝突が発生する可能性があります。
出張や旅行を計画する際は、できるだけこうした時期を避けるのが無難です。
フライトの時間

日本からパキスタンへの直行便は運航されていないため、ドバイ・ドーハ・イスタンブール など中東の主要都市を経由するのが一般的です。
便を選ぶ際は、治安面を考慮して 日中に到着するスケジュール を選ぶのが安全です。夜間の空港到着後に市内へ移動するのはリスクが高いため、避けるのが望ましいでしょう。
宿泊先の選び方

宿泊は必ずセキュリティ体制の整ったホテルを選びましょう。入口で車両チェックや金属探知機のある 大型ホテルチェーン が安心です。
たとえば、アバリタワーズ(カラチ) や パールコンチネンタルホテル(主要都市) は、外資系企業の出張者にも定評があります。料金は高めですが、安全と快適さを優先すべきです。
市内移動

パキスタンの都市部は渋滞が慢性的で、さらに治安リスクもあるため、徒歩での移動は避けるのが鉄則 です。必ずホテルや信頼できる業者を通じて車両を手配しましょう。
運転手付きレンタカーの利用が一般的で、場合によっては警備員が同乗するケースもあります。移動時は、出発時間に余裕を持ち、交通状況を確認することが重要です。
外務省の情報サービスの利用
外務省の海外安全ホームページで、渡航制限や危険情報をリアルタイムで確認するようにしましょう。
また、たびレジという外務省が渡航者向けに最新の安全情報を配信し、緊急時には安否確認にも利用されるサービスへの登録もしておくのがオススメです。
\ たびレジの情報をチェック /
パキスタンは歴史や文化的魅力の多い国ですが、観光客にとって安全とは言いがたいのが現状です。大都市でも犯罪や治安リスクが高く、観光目的での渡航は基本的におすすめできません。
パキスタンでトラブルに遭った際にどうする?

パキスタンで万が一、犯罪の被害に遭った場合は焦らずに落ち着いて手続きを進めて行きましょう。
以下にて犯罪に巻き込まれた際に重要な連絡先などをご紹介いたします。
パキスタンの緊急連絡先一覧
こちらがパキスタンの旅行者向けの緊急連絡先情報です。
種別 | 電話番号 | 補足情報 |
---|---|---|
警察 | 15 | 犯罪、事件、トラブル時に通報 |
救急車 | 115 | 救急車・医療緊急サービス |
消防 | 16 | 火災や救助要請時に利用 |
緊急(統合番号) | 1122 | 警察・消防・救急 |
在パキスタン日本国大使館へ相談
パキスタンでトラブルがあった場合には、パキスタン日本国大使館への連絡・相談が必要となり、大使館では、下記のようなサポートを受けることが可能です。
・帰国のための渡航書の発給:盗難や紛失によりパスポートが手元にない場合、総領事館にて「帰国のための渡航書」を発行してもらうことができます。この渡航書は日本への一時帰国に限り有効です。申請には、現地警察の「盗難証明書」が必要になるので、必ず警察署で届け出を行いましょう。
・現地情報や助言:必要に応じて、被害後の行動について適切なアドバイスを受けることができます。
在パキスタン日本国大使館
・住所:53−70, Ramna 5 Diplomatic Enclave, Islamabad, 44000 パキスタン
・電話番号(代表):+92519072500
トラブル時の旅行保険の活用
旅行保険に加入している場合、被害に遭った際に保険会社に連絡することで、補償やサポートを受けることができます。特に盗難、病気、けがの場合は重要です。保険会社の緊急連絡先番号を事前に控え、英語での説明が難しい場合に備えて、日本語対応が可能かどうかも確認しておきましょう。
▶ 保険請求に必要な書類例
・被害届(警察発行の証明書)
・病院の診断書や領収書(医療補償の場合)
・紛失・盗難物のリストや購入証明書
その他の対応策
地元の友人やツアーガイドに相談
慣れない土地でのトラブルは孤立感を招きがちです。可能であれば地元に住む知人やツアーガイドに状況を相談し、現地でのサポートを受けるのもおすすめです。
クレジットカード会社への連絡
クレジットカードやデビットカードを盗まれた場合は、速やかにカード会社へ連絡して使用停止の手続きを行いましょう。盗難保険が付帯している場合、一定額の補償を受けられる場合もあります。
海外旅行ではスマホが重要!

海外旅行中、思わぬトラブルに遭遇する可能性は誰にでもあります。パスポートや荷物の紛失、体調不良、道に迷ったりと、さまざまなリスクがつきものです。
そんなときに頼りになるのが、手元にあるスマートフォンです。旅行中の安全対策としてスマホを最大限に活用するためのポイントをご紹介します。
緊急時の連絡手段としてスマホを活用
スマホがあれば、緊急連絡先にすぐに電話やメッセージを送ることができます。事前に以下の情報をスマホに保存しておくと安心です。
・現地の緊急番号
・日本大使館や領事館の連絡先
・旅行保険会社の緊急連絡先
さらに、無料の通話アプリ(例:LINEやWhatsApp)を活用すれば、Wi-Fi環境やモバイル環境さえあれば通信費を抑えつつ迅速な対応が可能です。
GPSで迷子知らず
初めての土地では、迷子になるリスクがあります。スマホの地図アプリ(Google MapsやApple Mapsなど)を活用すれば、現在地の確認や目的地への最短ルートを瞬時に検索可能です。
オフラインマップを事前にダウンロードしておけば、通信環境が悪い場所でも安心です。
翻訳アプリで言葉の壁を克服
海外旅行中、言語が通じず困る場面は意外と多いものです。翻訳アプリ(Google翻訳やiTranslateなど)を使えば、簡単な会話や文章をその場で翻訳できます。
カメラ翻訳機能を使えば、メニューや看板の文字もすぐに理解できるため、トラブルを未然に防げます。
情報収集と共有がスムーズ
現地での観光情報や交通手段、緊急ニュースなど、必要な情報はスマホで簡単に検索できます。また、トラブルが発生した際、家族や友人に状況を共有してアドバイスをもらうことも可能です。
特に、現地の公式アプリやサービスを事前にインストールしておくと便利です。
配車アプリで移動もスムーズ
最近は海外旅行の際の安全な移動手段として、タクシーではなく配車アプリを利用する旅行者が増加しています。目的地にピンを立てて正確に立てられたり、価格もアプリで事前に分かるといメリットもありますが、一番はドライバーの身元が確かという点でしょう。
海外旅行の際には目的地で利用されている配車アプリをチェックしましょう。
モバイル決済で安全な支払いを
最近は観光客でも使えるモバイル決済サービスを取り入れる国も増えてきています。
現金を持ち歩くリスクを減らすため、スマホを使ったモバイル決済(Apple Pay、Google Pay、PayPalなど)を活用しましょう。特にスリや盗難が多い地域では、現金を最小限にしてスマホで支払うのが安全です。
・海外旅行が決まったら通信環境の準備を
スマホは単なる便利なガジェットではなく、海外旅行中の安全を守る強力なツールです。出発前には、現地のSIMカードやeSIMを用意して通信環境を整え、必要なアプリをインストールしておきましょう。スマホを上手に活用すれば、トラブルを最小限に抑えつつ、安心して旅行を楽しむことができます!
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