ブータン西部に位置するパロ(Paro)は、雄大な自然に囲まれた谷に広がる、美しく静謐な町です。ブータンへの国際便の多くが発着するパロ国際空港があることから、ブータン旅行の玄関口としても知られています。
この地域には、ブータンを代表する聖地「タクツァン僧院(タイガーズ・ネスト)」をはじめ、歴史あるゾン(僧院と行政の複合施設)や、美しい仏塔、文化的な博物館など、見どころが満載。この記事では、パロ観光の魅力とおすすめスポットを詳しくご紹介します。
パロってどんな場所?
パロは標高約2,200mに位置し、ブータンの中でも特に美しい谷として有名です。周囲を雪山と森林に囲まれたこの町は、のんびりとした空気とともに、ブータンの伝統的な建築や文化が色濃く残っています。
比較的観光インフラも整っており、ホテルやレストランの選択肢も豊富です。市街地を少し離れるだけで大自然と神聖なスポットが点在しており、スピリチュアルな旅を求める人にもぴったりです。
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パロのおすすめ観光スポット
ブータン西部のパロを旅行する際に是非行ってみて欲しいオススメの観光スポットをご紹介いたします。
1. タクツァン僧院Taktsang Monastery / タイガーズ・ネスト

ブータン観光のハイライトとも言える霊験あらたかな聖地。パロ郊外、標高約3,000mの切り立った崖に建つその姿は、神秘的かつ壮麗で、訪れる人を圧倒します。
8世紀にチベット仏教の開祖グル・リンポチェ(パドマサンバヴァ)が、虎の背に乗ってこの地に舞い降り、洞窟で瞑想を行ったという伝説に由来し、「タイガーズ・ネスト(虎の巣)」の愛称で親しまれています。
アクセス・所要時間・準備
駐車場から僧院までは、片道約2~3時間の本格的なハイキングコース。往復で4〜6時間程度を見込んで計画を立てましょう。道中には茶屋(途中のカフェ)もあり、休憩可能です。
・体力に自信がない方へ
登山道の中腹まではポニーに乗って登ることも可能。ただし、ポニーは下山時には利用できないので、帰りは必ず徒歩となります。
長い時間運動するので、動きやすい服装と滑りにくい靴、防寒具、帽子、水分補給用の飲料を持参しましょう。特に朝夕は冷えるため、軽い上着があると安心です。
見どころと注意点
・景観とフォトスポット:山道の途中から見える崖に張りついたような僧院の姿はまさに絶景。ブータンを象徴する風景として世界中の旅行者がカメラを向けます。
・寺院内のルール:寺院の内部では靴を脱ぎ、静かに拝観します。写真・ビデオ撮影は禁止されているため、荘厳な空間は心に焼き付けましょう。携帯電話の使用も控えましょう。
・高山病への注意:標高が高く空気が薄いため、ゆっくりとしたペースで歩き、こまめに休憩を取りましょう。頭痛・息切れ・吐き気などの症状が出たら無理せず下山を。
標高が高いため、高山病の兆候(頭痛・息切れ・吐き気)には注意し、ゆっくりと登りましょう。
2. パロ・ゾンParo Dzong

「リンプン」とは「宝石の山に立つ砦」という意味を持ち、ブータンを象徴する壮麗なゾン(要塞僧院)のひとつ。
17世紀に建てられたこの建物は、現在も宗教と行政の中枢として機能しており、地元住民の信仰心と日常が交錯する貴重な空間となっています。
建築と文化の魅力
重厚な石造りの壁と精緻な木彫りの装飾が美しく調和した、ブータン伝統建築の粋。大きな中庭を囲む構造は防衛のための設計でもあり、歴史の重みを感じさせます。
ゾンの内部には、色鮮やかな仏画や神仏の彫刻が施されており、訪れるだけで精神が引き締まるような静謐な空気に包まれます。
見どころと体験
境内では、僧侶たちが日々の修行を行っており、読経の声や祈りの様子を静かに見学することができます。ブータン仏教の精神性を肌で感じることができる瞬間です。
毎年春(通常3月または4月)には、ブータン最大級の宗教祭典「パロ・ツェチュ(Paro Tsechu)」が開催されます。
華やかな仮面舞踏(チャム)は、悪霊を祓い、徳を積む意味があり、色とりどりの衣装や伝統音楽とともに幻想的な世界が広がります。観光客にも人気のイベントです。
一部は現在も地方行政機関として使用されており、僧院としてだけでなく“働く場”でもある点が、ブータンの宗教と政治の融合を象徴しています。
訪問時のポイント
入場の際は節度ある服装を心がけましょう。短パンやノースリーブは避け、落ち着いた装いがおすすめです。写真撮影は外観は可能ですが、内部は場所によって撮影禁止のエリアがあります。案内表示に従いましょう。
周囲には歴史的な橋「ニェメ・ザム(Nyamai Zam)」もあり、ゾンとのコントラストが美しく、写真スポットとしても人気です。
3. 国立博物館National Museum of Bhutan

かつての見張り塔「タ・ゾン(Ta Dzong)」が、文化の宝庫に生まれ変わったブータンのナショナルミュージアム。
パロの街を一望できる丘の上に位置し、歴史・宗教・芸術を通じてブータンの精神文化を深く知ることができる場所です。
見どころと特徴
博物館の建物自体が17世紀に建てられた円形の石造建築で、かつてはパロ・ゾンを守るための防衛施設として使用されていました。現在はその歴史的価値を保ちつつ、内部が展示空間として整備されています。
展示内容は非常に充実しており、古代の武具や仏像、タンカ(仏教画)、民族衣装、宗教儀式の道具、仏教に関する写本や美術品など、ブータンの歴史と文化を多角的に学ぶことができます。
ブータンの自然に関する展示もあり、動植物の剥製や写真、地理や気候に関する資料なども揃っているため、文化だけでなく自然環境への理解も深まります。
訪問時のポイント
展示説明には英語表記が併記されているので、外国人観光客にも親切でわかりやすい構成。展示ごとのテーマや時代背景を丁寧に説明してくれており、学びのある観光が可能です。
建物の中は順路がしっかり設計されていて、円形構造を生かした階層式の展示ルートを歩きながら、自然とブータン文化の全体像を理解できるようになっています。
館内は原則撮影禁止なので、記録よりも“体験”を大切に楽しみましょう。
ロケーションと展望
国立博物館は高台に位置しており、屋外からの眺望が素晴らしいことでも知られています。パロ渓谷を見下ろす壮大な景色が広がり、写真撮影にもおすすめのスポットです。
パロ・ゾンとセットで訪れる人が多く、徒歩や車での移動も可能な距離にあります。
4. チェンチョ・ハンディクラフツChencho Handicrafts

地元パロで高評価を得ている老舗の手工芸品店。ブータン伝統の手織り布や衣装、装飾品、仏教アイテムなど、品ぞろえが豊富で、品質の良さに定評があります。
オーナーやスタッフも親切で、商品の背景や使い方を丁寧に説明してくれるのが魅力。
主な取扱商品
・手織りのキラ(女性用民族衣装)やゴ(男性用民族衣装)
・手刺繍のテーブルクロスやランナー
・仏教用数珠や香木製品
・マニ車やタンカ(仏教画)
観光客だけでなく、地元の人々にも利用されている信頼あるショップ。価格帯はやや高めですが、品質重視の人におすすめです。
5. ユエセル・ハンディクラフツYuesel Handicrafts

パロのメインストリート近くに位置するアットホームな手工芸品店。手頃な価格帯の商品が多く、観光客でも入りやすい雰囲気。ブータンらしい色彩の手織物や、木工・竹工の小物も充実しています。
主な取扱商品
・手織りのスカーフやバッグ
・民族柄のクッションカバーや壁掛け
・手作りの木彫りマスク
・香炉や線香セット
お土産探しにぴったりのカジュアルなお店。店主との交流を楽しみながら、掘り出し物を見つけられるのも魅力のひとつです。
パロ観光の注意点とアドバイス
・服装: 寺院やゾンを訪れる際は、肩や膝を隠す服装が基本。女性はスカーフや羽織ものがあると便利です。
・気候: 朝晩は冷え込むため、防寒対策が必要。標高が高いため、日差しも強く、日焼け対策も忘れずに。
・現地通貨: ブータンではニュルタム(BTN)が使われますが、インドルピー(INR)も一部で使用可能。両替は空港やホテル、市内の銀行で行えます。
・ガイド同行: ブータンではツアー会社を通じての旅行が義務化されているため、ガイド同行が基本。安心して観光を楽しめます。
大自然と歴史が融合する癒しの谷・パロ

パロはブータンの中でも特に観光資源に恵まれた地域で、「祈り」「自然」「歴史」が見事に融合したスピリチュアルな空間です。
崖に張り付くように建つタクツァン僧院は一生に一度は訪れたい絶景スポット。静けさの中に生きるブータンの信仰心と自然の偉大さを、ぜひパロで体感してみてください。
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