フィリピンの首都マニラへの旅行や移住を検討している方にとって、最も気になるのが「治安」の問題ではないでしょうか。日本のメディアでは「危険な都市」として報道されることが多いマニラですが、実際の治安状況はどうなのでしょうか。
本記事では、フィリピンのマニラの治安の実情、安全なエリアと危険なエリア、そして安全に過ごすための実践的な対策について詳しく解説します。
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フィリピンマニラの治安に対する一般的なイメージと現実
多くの日本人にとって、マニラと聞いて最初に思い浮かぶのは以下のようなネガティブなイメージかもしれません。
- スラム街の存在：アジア最大級のスラム街があることで有名
- 特殊詐欺グループ：近年話題となった「ルフィ」グループの潜伏地
- 高い犯罪率：銃犯罪や強盗事件の多発
- 政情不安：政治的混乱や社会情勢の不安定さ
実際に、筆者の知人のコンドミニアムがルフィグループの潜伏先だったり、訪れた場所がアジトだったりと、油断できない現実も存在します。一部の日系企業では、駐在員以外との交際を禁止するほど厳しいルールを設けているところもあります。
セブ島との比較で見るイメージの差
同じフィリピンでも、セブ島は「リゾート地」「人気の留学先」として親しまれており、マニラとは対照的なイメージを持たれています。この差は、観光地としての開発度合いや、日本での情報発信の違いによるものです。
現実的な治安状況の変化
実際にマニラを旅行してみると、想像していたほど危険ではないというのが率直な感想です。実際に最近のマニラを訪れた人は思ったよりは安全という印象を受ける方も多いと思います。
治安改善の背景とドゥテルテ政権の影響
マニラの治安が改善された大きな要因の一つが、ロドリゴ・ドゥテルテ前大統領（2016-2022年在任）による「麻薬撲滅戦争」です。
主な政策と効果
・徹底的な麻薬取締り：麻薬関連犯罪への厳罰主義
・マフィア組織の解体：組織犯罪の大幅な減少
・麻薬中毒者の減少：社会復帰プログラムの実施
・街頭犯罪の減少：警察の巡回強化
治安改善の具体的な数値
フィリピン国家警察（PNP）の統計によると、ドゥテルテ政権下で以下のような改善が見られました：
| 犯罪種別 | 2016年 | 2022年 | 減少率 |
|---|---|---|---|
| 殺人事件 | 8,045件 | 4,020件 | 50.0% |
| 強盗事件 | 3,200件 | 1,800件 | 43.8% |
| 麻薬関連 | 15,000件 | 3,500件 | 76.7% |
現在の治安維持体制
現在のマルコス政権下でも、治安維持政策は継続されており、特に外国人が多く住むエリアでは24時間体制の警備が強化されています。
観光客にオススメの安全なエリア詳細ガイド
治安の改善が進んでいるフィリピンのマニラですが、観光で訪れる際には安全なエリアを選んで旅行するのがおすすＭです。
BGC（ボニファシオ・グローバル・シティ）- マニラの近未来都市
BGCの基本情報
- 正式名称：Bonifacio Global City
- 開発背景：元軍用地を一から開発した計画都市
- 面積：約240ヘクタール
- 人口：約25万人（昼間人口含む）
BGCの安全性を支える仕組み
1.24時間警備体制
専門警備会社による巡回
主要交差点への警備員配置
防犯カメラネットワークの完備
2.アクセス制限
ジプニー（庶民の足）の乗り入れ禁止
トライシクルの通行制限
車両検問の実施
3.都市設計による安全性
電線の地中化による見通しの良さ
歩道の整備と街灯の充実
公園や緑地の適切な配置
BGC内の主要施設
| 施設カテゴリー | 代表的な施設 | 特徴 |
|---|---|---|
| ショッピング | ハイストリート、BGCセントラル | 高級ブランドから日用品まで |
| 教育 | 日本人学校マニラ | 日本人駐在員子女の教育拠点 |
| 医療 | セント・ルークス医療センター | 国際水準の医療サービス |
| 宿泊 | シャングリ・ラ・ザ・フォート | 5つ星国際ホテル |
BGCでも注意が必要な理由
安全なBGCでも完全に安全というわけではなく、以下のような事件も発生しているので、注意して行動する必要があります。
- スマートフォンの強奪事件：日本人観光客が被害
- スリ被害：気づかない間に財布を盗まれる
- 物乞いによる付きまとい：しつこい勧誘や要求
- 2025年5月の銃撃事件：日中でも拳銃強盗が発生
BGCの特殊性
地元の外国人からは「BGCはマニラじゃない」と言われるほど、周辺エリアとの格差が激しく、まさに「進撃の巨人のウォールシティ」のような存在です。
マカティ – ビジネス街の中心地
マカティの基本情報
- 位置づけ：フィリピンの金融・ビジネスの中心地
- 特徴：高層オフィスビルと高級住宅街が混在
- 外国人人口：約5万人（駐在員・永住者含む）
安全なマカティのエリア
1.グリーンベルト周辺
高級ショッピングモール「グリーンベルト」
国際ブランド店舗の集積
24時間警備体制
2.グロリエッタ地区
大型ショッピングコンプレックス
多国籍レストランの充実
地下鉄駅直結のアクセス
3.ロックウェル
・富裕層向け高級住宅街
・プライベート警備の充実
・外国人居住者が多数
マカティで注意すべきエリア
リトル東京周辺：飲屋街のため夜間は特に注意
レガスピ地区：2024年6月に日本食レストランで拳銃強盗事件発生
被害の特徴
被害者の多くがパスポートを携帯しており、旅行者・出張者がターゲットになっています。事件が発生する時間帯は19:00-22:00台の比較的早い時間で、ショルダーバッグを狙った強奪が多いです。
マニラの危険なエリアと注意すべき場所
上記でご紹介した比較的安全なエリア以外は事件などが起きやすい傾向がありますが、特に気を付けるべきあまり立ち寄らない方が良いエリアもご紹介いたします。
トンド地区 – アジア最大級のスラム街
トンドの基本情報
- 人口：約65万人
- 特徴：アジア最大級のスラム街「ハッピーランド」
- 主な問題：極度の貧困、薬物、犯罪の多発
トンドの危険性
・昼間でも単独行動は危険
・外国人は格好のターゲット
・警察の巡回も限定的
近隣エリアの状況
近隣のビノンドという中華街は日中でも一人歩きは推奨しません。またディビソリアという卸売市場があるエリアも治安面で課題があるので注意が必要です。
マラテ・エルミタ地区 – 歓楽街エリア
マラテの特徴
マラテは、マニラでも特に有名な歓楽街として知られており、KTV（キャバクラ）やバー、ナイトクラブが密集しています。夜になるとネオンが灯り、観光客や地元の人々で賑わいます。
観光客向けの施設も一部整っており、日本食レストランやマッサージ店も点在しています。ただし、そうした施設の中には観光客目当てのぼったくりも存在するため、料金やサービス内容の確認は必須です。
特に夜間はスリや強盗、違法な客引きなどが頻発するエリアでもあるため、十分な注意が必要です。
エルミタの状況
マラテに隣接するエルミタ地区は、リサール公園や国立博物館などの観光地にも近く、昼間は比較的落ち着いた雰囲気が漂います。
宿泊施設はバックパッカー向けの安宿やゲストハウスが多く、旅費を抑えたい旅行者には人気のエリアです。
夜になると雰囲気が一変し、治安が不安定になるため夜間の一人歩きは絶対に避けるべきです。女性だけの旅行や初心者には、別のエリアでの宿泊も検討した方がよいでしょう。
気を付けるべき犯罪の種類と具体的な被害
フィリピンのマニラ旅行時に特に気を付けるべき犯罪の種類と具体的な被害についてご紹介いたします。
1.拳銃強盗
拳銃強盗の発生は以下状況が多いので、行動する際には被害に遭わないように注意しましょう。
1. 外国人観光客、特にアジア系の観光客の被害が多い
2.19:00-22:00の比較的早い時間に多いので注意
3.人通りの少ない路地や駐車場での被害が多いです
4.複数犯による包囲、拳銃による脅迫
拳銃強盗に遭遇した際の対処法
もし万が一、拳銃を持った強盗に遭遇してしまった場合、最も大切なのは命を守ることです。絶対に抵抗せず、落ち着いて相手の指示に従うようにしましょう。相手は武器を持っており、少しの刺激でも危険な行動に出る可能性があります。
命があれば後で取り戻せることも多いので、その場をやり過ごしたあとは、速やかに最寄りの警察署へ被害届を提出と同時に、日本大使館や領事館へも連絡を入れ、必要なサポートを受けてください。
2.スリ・ひったくりの手口と対策
一般的なスリの手口は以下の3種類が多いので、パターンを知っておいて対策や避ける事を意識しておきましょう。
1.グループ犯行
一人が注意を逸らすしている間に、もう一人が財布やスマートフォンを盗んで、瞬時に人混みに紛れて逃走するという手口。
2.バイク使用
二人乗りバイクで接近してきて、信号待ちや歩行中にカバンやスマホを狙って突っ込んできて、ひったくった後はバイクで高速で逃走するという手口。
3.物乞いを装った犯行
物乞いのふりをして接近してきて、隙を見て貴重品を盗むという手口。中には子供が声をかけてくるという子供を使った犯行もあるので注意。
効果的な防犯対策 – 海外旅行で身を守るためにできること
まず意識したいのが服装です。観光客らしい格好は目立ちやすく、狙われる原因になります。できるだけ現地に馴染むような、目立たないカジュアルな服装を選びましょう。これだけでも防犯効果は非常に高く、危険を回避しやすくなります。
次に鞄の持ち方や貴重品の管理も大切です。バッグはチャック付きを選び体の前側でしっかりと持ち、財布やパスポート、クレジットカードなどは1か所にまとめず、複数に分けて保管するようにしましょう。
こうした小さな配慮の積み重ねが、安全な旅の第一歩となります。事前の準備と意識次第で、リスクを大きく減らすことができます。
3.Grab（配車アプリ）で安全に移動しよう
フィリピンのマニラ旅行ではGrabを使うのがオススメです。ぼったくりを防ぎながら安全に移動できます。
1.料金の透明性
事前に料金が確定
ぼったくりのリスクがない
キャッシュレス決済可能
2.安全性の確保
ドライバーの身元確認済み
GPS追跡による位置情報共有
評価システムによる品質管理
Grab利用時の安全対策
Grabを利用する際には「車両ナンバーの照合」「ドライバーの顔写真確認」「車種・色の一致確認」「到着予定時刻の把握」などを意識しましょう。
フィリピン以外でも東南アジア旅行ではGrabが活躍するので入れて置いて損はないでしょう。
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フィリピン旅行で被害に遭ったら
フィリピン旅行中、どんなに注意を払っていても、犯罪の被害に遭ってしまう可能性はゼロではありません。
万が一の事態に冷静に対応するために、事前に必要な情報を把握しておきましょう。以下では、被害に遭った際に役立つ連絡先や対応手順を詳しくご紹介します。
万が一の際に役立つ主要な連絡先
旅行中は、メモやスマートフォンにこれらの情報を保存しておくことをおすすめします。
以下は、フィリピンの緊急連絡先をわかりやすく整理した表です：
| 種別 | 電話番号 |
|---|---|
| 警察（Philippine National Police） | 📞 117 |
| 救急・消防（BFP / Ambulance） | 📞 911 |
| 日本大使館（マニラ） | 📞 (02) 8551-5710 |
※通話は基本的に英語対応です。滞在先の住所や連絡先は英語で控えておくと安心です。
日本大使館への相談（フィリピン・マニラ）
フィリピンには正式な日本大使館が設置されており、犯罪被害やパスポートの盗難・紛失といったトラブルに対して、さまざまな支援を行っています。
在フィリピン日本国大使館が提供する主な支援
・帰国のための渡航書の発給
パスポートが盗難または紛失した場合、「帰国のための渡航書」を発行してもらえます。
※申請にはフィリピン国家警察（PNP）による盗難証明書（Police Report）が必要です。必ず最寄りの警察署へ届け出をしましょう。
・現地情報や助言の提供
トラブル後の対処方法や、警察・医療機関などに関する情報提供を受けられます。必要に応じて、通訳の手配や、家族への連絡サポートも行っています。
在フィリピン日本国大使館（マニラ）連絡先
- 住所：2627 Roxas Boulevard, Pasay City, Metro Manila, Philippines
- 電話番号（代表）：+63-2-8551-5710（平日 8:30〜12:30／13:30〜17:15）
- 緊急連絡先（夜間・休日）：+63-2-8551-5710（音声ガイダンスに従い、緊急案件に対応）
- 公式ウェブサイト：
パスポートの盗難に関しては、再発行の際に証明写真や帰国のための渡航書の発給手数料が必要です。現地でトラブルがあった場合には気を付けましょう。
トラブル時の旅行保険の活用
旅行保険に加入している場合、被害に遭った際に保険会社に連絡することで、補償やサポートを受けることができます。特に盗難、病気、けがの場合は重要です。保険会社の緊急連絡先番号を事前に控え、英語での説明が難しい場合に備えて、日本語対応が可能かどうかも確認しておきましょう。
▶ 保険請求に必要な書類例
・被害届（警察発行の証明書）
・病院の診断書や領収書（医療補償の場合）
・紛失・盗難物のリストや購入証明書
その他の対応策
地元の友人やツアーガイドに相談
慣れない土地でのトラブルは孤立感を招きがちです。可能であれば地元に住む知人やツアーガイドに状況を相談し、現地でのサポートを受けるのもおすすめです。
クレジットカード会社への連絡
クレジットカードやデビットカードを盗まれた場合は、速やかにカード会社へ連絡して使用停止の手続きを行いましょう。盗難保険が付帯している場合、一定額の補償を受けられる場合もあります。
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海外旅行ではスマホが重要！
海外旅行中、思わぬトラブルに遭遇する可能性は誰にでもあります。パスポートや荷物の紛失、体調不良、道に迷ったりと、さまざまなリスクがつきものです。
そんなときに頼りになるのが、手元にあるスマートフォンです。旅行中の安全対策としてスマホを最大限に活用するためのポイントをご紹介します。
緊急時の連絡手段としてスマホを活用
スマホがあれば、緊急連絡先にすぐに電話やメッセージを送ることができます。事前に以下の情報をスマホに保存しておくと安心です。
・現地の緊急番号（例：カナダは「911」、タイは「191」など）
・日本大使館や領事館の連絡先
・旅行保険会社の緊急連絡先
さらに、無料の通話アプリ（例：LINEやWhatsApp）を活用すれば、Wi-Fi環境やモバイル環境さえあれば通信費を抑えつつ迅速な対応が可能です。
GPSで迷子知らず
初めての土地では、迷子になるリスクがあります。スマホの地図アプリ（Google MapsやApple Mapsなど）を活用すれば、現在地の確認や目的地への最短ルートを瞬時に検索可能です。
オフラインマップを事前にダウンロードしておけば、通信環境が悪い場所でも安心です。
翻訳アプリで言葉の壁を克服
海外旅行中、言語が通じず困る場面は意外と多いものです。翻訳アプリ（Google翻訳やiTranslateなど）を使えば、簡単な会話や文章をその場で翻訳できます。
カメラ翻訳機能を使えば、メニューや看板の文字もすぐに理解できるため、トラブルを未然に防げます。
情報収集と共有がスムーズ
現地での観光情報や交通手段、緊急ニュースなど、必要な情報はスマホで簡単に検索できます。また、トラブルが発生した際、家族や友人に状況を共有してアドバイスをもらうことも可能です。
特に、現地の公式アプリやサービスを事前にインストールしておくと便利です。
配車アプリで移動もスムーズ
最近は海外旅行の際の安全な移動手段として、タクシーではなく配車アプリを利用する旅行者が増加しています。目的地にピンを立てて正確に立てられたり、価格もアプリで事前に分かるといメリットもありますが、一番はドライバーの身元が確かという点でしょう。
海外旅行の際には目的地で利用されている配車アプリをチェックしましょう。
モバイル決済で安全な支払いを
最近は観光客でも使えるモバイル決済サービスを取り入れる国も増えてきています。
現金を持ち歩くリスクを減らすため、スマホを使ったモバイル決済（Apple Pay、Google Pay、PayPalなど）を活用しましょう。特にスリや盗難が多い地域では、現金を最小限にしてスマホで支払うのが安全です。
・海外旅行が決まったら通信環境の準備を
スマホは単なる便利なガジェットではなく、海外旅行中の安全を守る強力なツールです。出発前には、現地のSIMカードやeSIMを用意して通信環境を整え、必要なアプリをインストールしておきましょう。スマホを上手に活用すれば、トラブルを最小限に抑えつつ、安心して旅行を楽しむことができます！
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