ブータンの中央西部に位置するプナカ(Punakha)は、かつてブータン王国の首都であった歴史的な町。緑豊かな渓谷と温暖な気候、そして圧倒的な美しさを誇る仏教建築が見どころのエリアです。
特に有名なのが「ブータンで最も美しいゾン」と称されるプナカ・ゾン(Punakha Dzong)。春になると周囲に咲き誇るジャカランダや桜の花が、白く輝く僧院を彩り、幻想的な景色が広がります。
この記事では、そんなプナカの魅力を、代表的な観光スポットとともにご紹介します。
プナカってどんな場所?
プナカは標高約1,200mとブータンの中では比較的低地にあり、冬でも温暖な気候が特徴。そのため、ティンプーやパロなどの高地都市よりも過ごしやすく、農業も盛んです。
また、プナカはブータン初代国王の戴冠式が行われた場所でもあり、今でも王室にとって重要な地。歴史と自然が融合したこの谷は、静けさの中に深い精神性を湛えた、まさに“ブータンらしい風景”が残る場所です。
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プナカのおすすめ観光スポット
ブータンの中央西部に位置するプナカ(Punakha)を旅行する際に是非行って欲しい観光スポットをいくつかごしょうかいします。
1. プナカ・ゾンPunakha Dzong

プナカの象徴ともいえる壮麗なゾン(城砦型の僧院)。1637年、シャブドゥン・ンガワン・ナムゲルによって建立され、ブータン統一の歴史の中でも重要な役割を果たしてきました。
現在でも宗教的・行政的に大きな意義を持つこの建物は、ブータンで最も美しいゾンと称され、観光客からも地元民からも高い人気を誇ります。
見どころ
・建築様式: ブータン伝統の白壁と赤い屋根、繊細な木彫りが施された建築は、荘厳でありながら温かみのある美しさ。建物は複数の階層に分かれ、入り口から中央塔(ウツェ)までが美しく整っています。
・季節の魅力: 春にはゾンの周囲に咲くジャカランダの花が鮮やかな紫色に彩り、背景に山と川が広がる風景はまるで絵画のよう。写真撮影にはベストシーズン。
・内部の役割: 現在も王室の婚礼や宗教的儀式が執り行われる神聖な場所。僧侶の居住区としても機能しており、宗教と政治が融合した空間になっています。
ブータンの歴代国王が即位前に宗教儀礼を受ける場所でもあり、王政と仏教が密接に結びついたブータンならではの文化が息づいています。
アクセス
ティンプーから車で約2.5〜3時間、パロからも日帰り可能な距離です。ドチュラ峠を越える山道を進む途中では、標高3,100mのパノラマビューが広がり、道中も見どころ満載。
2. チミ・ラカンChimi Lhakhang

“子宝祈願の寺”として世界中の旅行者から注目を集めるチミ・ラカンは、16世紀に建立された歴史ある仏教寺院。
ブータンで特にユニークな存在感を放つこの寺は、「神の狂人」として知られる風変わりな聖者ラマ・ドゥクパ・キンレイの教えと伝説に根ざしています。彼の型破りな教えや行動は、ブータンの民話や伝承に数多く登場しており、彼の霊力によってこの寺が建立されたとされています。
見どころ・特徴
・子宝祈願の聖地: 境内では、多くのブータン人のほか、外国人観光客や不妊治療中のカップルなどが「子宝のご利益」を求めて祈りを捧げています。赤ちゃんを授かったという体験談も多く、口コミで人気が広がっています。
・祝福の儀式: 寺院内では、僧侶による「祝福の棒(ラマ・キンレイが持っていたとされる木の陰茎)」での頭叩きの儀式が体験可能。この儀式を受けると子どもが授かると言われており、特に女性の参拝者に人気です。
・陽物(シンボル)の壁画: 村の家々の壁には、色鮮やかな「陽物(ファルス)」の絵が多数描かれており、そのユニークなビジュアルは訪れる人の印象に強く残ります。これらは邪気払いと豊穣の象徴であり、村全体が神聖なエネルギーに包まれていると信じられています。
寺の入口付近には小さな土産物屋があり、陽物モチーフの木彫りや民芸品など、ここでしか手に入らないユニークなグッズも見つかります。
アクセス
プナカ中心部から車で約20分。駐車場で車を降りた後は、徒歩でアクセスします。平坦な道が続くため、軽装でも問題ありませんが、晴天時は日差しが強いので帽子や水分補給をお忘れなく。
3. カムスム・ユリェ・ナムギャル・チョルテンKhamsum Yulley Namgyal Chorten

プナカ郊外に佇むこの美しい仏塔は、第3代国王の平和と国家の安寧を祈願し、第5代国王の母であるアシ・ツェリン・ヤンゾム・ワンチュク王妃によって建立されたものです。
1990年代に完成した比較的新しい宗教施設でありながら、その外観と内部の荘厳さから、今やプナカ観光では外せない人気スポットとなっています。
見どころ・特徴
・圧倒的なロケーション
仏塔はモ・チュー川沿いの小高い丘の上に位置しており、頂上からは谷を囲む山々や川の流れを一望できます。特に朝方や夕暮れ時には、黄金色に輝く山々が絶景を演出します。
・ブータン建築の美の極み
チョルテン(仏塔)は、伝統的なブータン様式を忠実に守りつつ、華やかな装飾と精緻な仏教芸術を詰め込んだ構造。内部は4層構造となっており、階を上がるごとに異なる守護神や曼荼羅(マンダラ)が描かれた仏画が広がり、宗教的意味合いと視覚的美しさの両方を楽しめます。
・仏教美術の宝庫
内部にはヤブ・ユム像(男女合体の神仏像)や多くの守護尊(ディエティ)の彫刻があり、ブータンの密教美術を間近で鑑賞することができます。瞑想に適した静けさと荘厳な雰囲気に満ちており、訪れる人の心を穏やかにします。
ハイキングを楽しもう
駐車場から仏塔までは約30〜45分ほどの緩やかな登山道。途中には棚田や畑が広がり、農村風景と自然の静けさに癒される道のりです。足元がぬかるみやすい場所もあるため、履き慣れたスニーカーやトレッキングシューズがおすすめ。
アクセス
プナカ中心部から車で約40分程度。トレッキングのスタート地点となる橋(吊り橋)を渡った先に登山道が始まります。プナカ・ゾンやチミ・ラカンと組み合わせた観光プランにも最適。
プナカ観光モデルプラン(1泊2日)

ティンプーからプナカへ行く1泊3日の観光モデルプランをご紹介します。
【1日目】ティンプー/パロ ➡ プナカへ移動&観光
・午前:移動(約2.5〜3時間)
ブータンの山岳道路をドライブしながら、**ドチュラ峠(Dochula Pass)**で小休憩。
晴天時はヒマラヤの絶景と108基の仏塔が見られる人気撮影スポット。
・午後:名所めぐり&市街地散策
プナカ・ゾン:ブータン随一の美しさを誇るゾン。春はジャカランダの花を
昼食:エマ・ダツィ、レッドライス、地鶏など地元の味を堪能。
チミ・ラカン:ユニークな陽物の壁画と「祝福の棒」で知られる“子宝の寺”へ。農村トレイル(徒歩約30分)も楽しめる。
・夕方〜夜:宿泊&夕食
宿泊:川沿いの静かなロッジやゲストハウスがおすすめ。夕日と渓谷の風景を満喫。
夕食:地元の家庭料理とともに、バター茶や現地酒「アラ」もぜひお試しを。
【2日目】ハイキングとショッピング
・午前
▶ カムスム・ユリェ・ナムギャル・チョルテンへ軽いハイキング(徒歩30〜45分)。
農村ののどかな風景と、丘の上からの絶景が楽しめる。塔内の仏画や装飾も見応えあり。
・午後
昼食&ショッピング
市街地のレストランでランチ後、Yuesel Handicraftsなどの手工芸品店でお土産探し。
移動(夕方着予定)
ティンプーまたはパロへ戻る。途中、再びドチュラ峠で最後の絶景を満喫。
旅のアドバイス
- 持ち物:歩きやすい靴、羽織りもの、日焼け止め、帽子、水筒
- 注意点:標高が高いため、体調管理と水分補給を忘れずに。
プナカ観光のアドバイス
・服装: 寺院や仏塔に入る際は、長袖・長ズボンなど肌を隠す服装が基本。ブータンでは礼儀を重んじる文化です。
・交通: 公共交通は少ないため、旅行会社を通じた専用車移動が一般的。
・気候: プナカは他の都市より暖かく、冬でも過ごしやすい。春は特におすすめのシーズンです。
・カメラ: ゾンや寺院内は撮影禁止の場所が多いので、ガイドの指示に従いましょう。
静かで美しい“本当のブータン”に出会える場所

プナカはブータンの豊かな精神性と自然の恵みを感じられる、癒しと祈りの谷。ブータンで最も美しいと称されるプナカ・ゾンをはじめ、ユニークな子宝寺や瞑想に最適な仏塔まで、見どころがコンパクトにまとまっているのも魅力です。
パロやティンプーからの日帰りや1泊旅行にも最適なエリア。ぜひ一度、プナカで“ブータンの本質”に触れてみてください。
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